代償
マスターの控え室みたいなところに連れられる。
「………ごめんね、文ちゃん」
「………な、んで」
「ん、ちょっとね」
ケータイを取り出す。
いじり出す。
………何なの?
「………あ、パフェ」
キャーラが言う。
………溶けてるよ、もう。

………勇人さん。
私。
どうしたらいい?
………キャーラから、逃れることはできないし。

「もしもし………はい、ええ。………はい」
………電話?
いつものトーンじゃない。
………相手は警察関係?
「もしもし、木屋(きや)です。………ええ。………そうです」
………キヤ?
………木屋かな。
………それがキャーラの本名?
へー。
キャーラて。
その名付け親は誰だ?
上時総長?
………ありえる。

「はい。続行します、了解です」
電話を切る。
「よし、完了」
………大人ー。
さすが、警察。
若いのに。
「驚いた?僕の本性」
「………ぅん」
驚いた。
本性は、普通と違う。
………2重人相?
………凄まじいね、キャーラ。

上時が時たま恐れるわけだ。
『奴は裏表が凄いからな。注意しとけ』
………そうだね。
そうしよう。
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