桜雨〜散りゆく想い〜
 「でも、どうしても自分が許せなくて――生きて行く事が罪に思えて言えなかった……」


 僕は勘違いしていた。茜は強くて、しっかり前を見て歩いていると思っていた。でも、茜も普通の女の子で、辛い時は涙を流す。


 当たり前の事なのに、僕は気付いていなかった。


 「私は望に言う事で自分自身に言ったの、『私は生きているんだから』って。だから私は、望に救われたの」


 「僕に……救われた――」


 
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