桜雨〜散りゆく想い〜
 そう、僕には茜が居た。だから立ち直る事が出来て、こうして生きている。ならば茜は……


 「そんな時だった。辞めるつもりでだったた学校から連絡があって望の事を聞いたの……きっと私にしか出来ない事だと思った」


 「茜にしか出来ない事?」


 「そう――傲慢かもしれないけど、私にしか望を救えないと思ったの。私、望に言ったよね?『前に進まなきゃ、私達は生きてるんだから』って」


 僕は頷いて、茜に言葉を促した。


 「あれは私が私自身に言いたかった言葉なの……」


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