桜雨〜散りゆく想い〜
 さっきまでの雨のせいだろうか、所々で茶色い枝が見える。


 まるで虫喰いのように見え、何と無く陰欝な気分。


 世の中の全ての事に正解が用意されていればどんなに楽だろう。


 考えても、考えても、どちらかを選ぶなんて出来そうもなかった。


 二人とも大切な人。それは僕の我が儘以外の何物でもなく、どちらを選んでも正解などなくて、それでもどちらかを選ばなくてはならない。


 いっそこの無数にある桜の花びらで、花占いでもしようかなんて馬鹿な事まで考える。


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