桜雨〜散りゆく想い〜
 それが僕が茜についた二度目で、最後の嘘だった――



 電話を切った僕は、桜並木に向かって急いだ。


 雨のせいで花を殆ど散らせてしまった桜並木は寂し気で、まるで世界の終わりを思わせる。


 僅かに残る花びらは最後の力で枝にしがみついている。


 『散らないで――』


 今にも泣きだしそうな香が脳裏に浮かぶ。


 あの時はただ桜が好きなのだと思い、気にも留めなかった。


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