桜雨〜散りゆく想い〜
 見計らったようなタイミングでアナウンスが流れ、僕の乗る電車がホームへ滑り込んだ。


 時間にして1時間半程で着くだろう。


 僕は濡れた傘を一振りして水滴を飛ばしてから電車に乗り込んだ。


 車内には僕の他に、くたびれたシャツを着た20代後半ぐらいの男と、僕と同じ歳ぐらいの女が乗っているだけ。


 車内を見回していた僕は、その女の人と目が合い慌てて視線を外した。


 どこと無く香に似ている気がする――


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