桜雨〜散りゆく想い〜
 僕が帰ってから間もなく茜も帰って来て、久しぶりに一緒にご飯を作ろうと言い出した茜に渋々従った。


 僕が野菜を切り茜がそれを炒め、切った豆腐とミンチを加えて水とかたくり粉ととろみを付ける。


 いくつかのおかずを作り終えた時、ちょうど炊飯器がご飯を炊き上げた。


 向かい合わせに座り、僕と茜は鏡のように手を合わせて『いただきます』と言って箸を動かし始めた。


 茜が言ったのは僕が麻婆豆腐をスプーンですくった時だった。


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