桜雨〜散りゆく想い〜
 「私ね、火事で両親を亡くした時『自分も死ねばよかった』と思った。何で自分だけが助かったのかって――」


 同じだった。あの頃の僕も、毎日、毎晩、同じ事を思っていた。自分のせいで家族を死なせてしまったのに、どうして自分だけが助かってしまったのか。いっそ死にたかった――


 「毎日毎日考えてた。自分は何故助かったのか……本当は学校も辞めるつもりだったの、とても仕事なんてする気になれなかったしね」


 僕は茜に救われた。茜がいなければ今の僕はいなかっただろう。


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