僕ヲ愛シテ
「誰が撮ったと思う?」


「…あ、知らな…いッ」
わかるはずがない。

あれだけ人がいるキャンパス。
しかも無音。
スマホを持っていた人皆を疑ってしまう。






「これ撮ったの……颯だぜ?」


「嘘…」


高校時代からの親友。
大学も専攻も一緒。




…先輩を紹介してくれたのも、颯。








「なあ、気持ちいいって言えよ」




「…やだ、ぁ……」

自然と涙が溢れた。

親友だと思っていたのは僕だけだったの?
最初から、先輩の味方だったの?




先輩は…本当に僕の事好きなの?





「チッ…」

先輩は望む言葉が聞けなかったのが不満だったのか、離れてまた蹴りつけてきた。


「おめッはッ、誰のおかげで大学行って生活出来てんだ?ああッ?おらぁッ」





ああ、この人はただ僕を支配したいだけなのか。



でも、先輩がいなきゃ生きられないのも、事実といえば事実。


僕が離れられないから駄目なのか。






僕を、愛してくれた出会った頃の先輩は、もういないんだ。
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