煙草とキス
────快斗の匂いがするベッドの中。
心の中は、複雑だった。
「……快斗は、澪ちゃんしか見てないよ」
世那は、そう言葉を残して
静かに家を出ていった。
星は、知っていたのだろうか。
この世を、ずっと…ずっと……
見下ろしてきた星たちは
こんなあたしを、どう思うのだろうか。
そして、あの日のメイが
あたしの頭の中で、何度も現れた。
ひょっとしたら、あの時メイは
快斗のことで涙を流していたのかもしれない。
だけど、たとえメイが
まだ快斗を愛していたとしても
あたしは、メイを睨むような真似だけはしたくない。
それこそ、苦しいことになるから。
ねえ、快斗………。
やっぱり時々、
快斗のことが分からなくなるよ。
メイと過去に関係を持っていたなら
それでいいんだ。
知らないフリなんてしないで
忘れたいなら、はやく忘れてくれれば
あたしはそれでいいんだ。
なのにどうして…………
告げるのは皆、星だったのかな?