盲目少女と人斬り集団


歩『さぁ、此処が涼梛の部屋やでぇ』


私はアユ姉について行き
前に自分が使っていた部屋へと入る
懐かしい香りに少し頬が緩む



歩『〝懐かしい〟やろ?』


涼梛『っ!!』


私はアユ姉の言葉に身構えたが

〝ぎゅぅっ〟

アユ姉は私の身体をキツく強く抱き締めた
震えるその腕で
私を抱き締めた


歩『忍は騙されへんで、閑梛、、、』


震える身体とは裏腹に
アユ姉の声は鋭かった


涼梛『…歩、さん、、、』


着物をギュッと握ると
少しだけ緊張した

このまま殺されるのか、と、、、
でも、、、


歩『ぁあっ、、、ほんま、よかったわぁ、
閑梛がいなくなって
土方はんもピリピリしてはったんよぉ
やっぱり、土方はんには閑梛が必要なんよっ
閑梛、早く土方はんの処に…』


涼梛『止めてよ!!
私はその名は暫く名乗らないの!!
知ってるでしょ?
《芹沢閑梛は見つけ次第暗殺せよ》
薩摩も長州も会津も
私を狙ってる!!此処だって信用してないよっ
父様はお前等がちゃんと守ってなかったから
酒を大量に飲ませて、
私の父様を梅さんを、、、返して…!!』


私は気がつけば怒鳴り散らしていた。
誰かに聞かれたらいけないことなのに
それでも、
止まらなかった
私の怒りは誰にもわからない。

アユ姉は私を強く抱きながら頭を撫でてくれていた

歩『うん。
そうだよね、
閑梛は芹沢閑梛だもんね、
殺さなきゃいけないけど
無理だよ
うちは閑梛が大好きやもん』


アユ姉は私の額に額を合わせ
声を震わせた


涼梛『私も、アユ姉、好きだよぉっ』

私はさらしに涙を滲ませた。
アユ姉に抱き付いて
いつかのように子供のように泣いた。

この人は
信頼しても、いいのかな

いいよね?




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