居 候 天 使


「てゆーか、お前等どうやって入ってきたんだ?鍵がかかってたはずだけど」

「あ?普通にドア通り抜けてきましたけど?」

「普通に無理だろ、それ。ピッキングか?」

「あぁもううざいお前。何でもかんでも疑いすぎ」


まったくこいつは何様のつもりだ。

自分が空き巣の疑いをかけられている立場だということをまだ理解できてないのか?


「やっぱり通報するしかないみたいだな」


もういい。限界だ。

もう警察に押し付ける以外に対処法がない。


「あーハイハイ、勝手にすれば」


シキは特にうろたえる様子もなく、ソファーから起き上がる気配もない。

こっちの気も知らないで、平然と漫画を読んでいる。


「な、なんだよ、その態度は。言っとくけど本気だぞ、俺は」


全く動揺を見せないその態度に、逆にこっちが戸惑ってしまう。


「ふーん」


ふーんって、本当にいいのかよ。


「それじゃあ、遠慮なく通報させていただきます!」

「やめたほうがいいよ」


携帯の発信ボタンを押そうとしていた俺の指が、コハクの声によって止められる。


「わたしたちは天使。

姿を消すことなんてたやすい」


「姿を、…消す?」


作り物の羽しか持たないような自称天使が、そんなの無理に決まって…

いや待て。

確かに羽は偽物だけど、浮いたりできる時点で人間じゃないことは確か。

もしかして本当に姿消せたりするのか?



「って透けてるしっ!!」


ふと隣のシキを見てみれば、彼の身体は明らかに透けて、うっすらと奥の壁紙が見えていた。


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