優しい君に恋をして【完】
優は私の手をぎゅっと握ると、
ぐっと下を向いて、前髪を揺らした。
そして、顔を上げて夜空を見上げた。
もう、その空には花火はないのに、
ただ、その場から真っ暗な夜空を見上げていた。
公園の中の人達は、ぞろぞろと川沿いの道へと流れていて、
優だけが、時間が止まったかのように、
ずっと夜空を見上げていた。
どうしたんだろうって思いながら、
しばらくそのまま、その綺麗な横顔を隣から見つめていた。
そして、公園内の人たちがほとんどいなくなって、
静かな公園に戻った時、
薄暗い中、高い位置にある街灯の明かりで、
ほんのりと照らされた優が、
空を見上げながら、ぽつりとつぶやいた。
「何をそんなに、怖がっていたんだろう......」
優.......
優は下を向いて、ははっと笑うと、
私の顔を見た。
「仲間だってさ」
また、あはははっと笑って、自分の前髪をくしゃくしゃっと引っ張りまた、
夜空を見上げた。
その瞳がキラキラと光って見えるのは、
街灯の明かりのせいだろか........
嬉しかったよね。
優はきっと、
嬉しかったんだ。
だって、きっと初めてなんだよね、こんなこと。
聞こえる男の子たちと、一緒に遊ぶことが。
仲間だって言ってもらったことが。
初めてなんだよね。
よかった。
よかったね、優.......
私も、嬉しい.......
ずっと夜空を見上げている優を、
そっと抱きしめると、
優は私の頭を優しく撫でた。