じぇねれーしょん


リカは改めて溜息を一つ吐き、カウンター越しに身を乗り出してきた。


「ちょ……!いきなり何っ……」


触れただけの唇はあっけなく離れ、カウンターに乗り上げたままのリカは困ったような苦笑を浮かべている。


「脅されて来たくせに忘れちゃってる?てか、俺と二人っきりなこの状況でその危機感のなさはどーなんだろ。この間の事、忘れたわけじゃないよね?」


……そうでした。


可愛子ぶっているリカちゃんの本性は、実はちょこっと小悪魔で、ちゃんと男の貌も持っている。


だけど、『バーテン少女のリカチャン』のイメージは根強く七緒に刷り込みされているらしく、無邪気な態度に絆される。


それに。


社会概念上この関係はマズイと思っているものの、実際のところリカの感触を嫌悪しているわけではないので戒めはどうしても緩くなる。


反省なんだか言い訳なんだか分からないことを内心でぼやいていると、再びカウンターからリカが身を乗り出してきた。


「止めなさいってば、リカっ」


命一杯大人の威厳を駆使して、近づいた顔を無慈悲に押しやる。


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