別れの理由

しばらく、二人は身体を重ねたまま、離れることができなかった。
俺は、
そんな自分が少し恥ずかしく、
無理やり、彼女から離れ、煙草に火を点けた。

すると、
まだ身動きとれないほどの余韻を残した顔で、彼女が口にした。





「見た?」



「ああ……」



――そりゃ見える。



「……そっか。イヤになった?」



「んな、ワケないやろ?」



――なんでそんなもん…俺が気にすんねん。






「ごめんなさい……でも、もうなんでもないから」

「気にしてないって」

「ありがとう…」



――ま、さすがの俺も相手は気になるけどな……。



彼女の腰にある、大きな刺青。
愛の証でもある、愛する物と対になったその模様……。







俺の……、

全身にあるその刺青とは、対にはなっていなかった。



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