体育館12:25~私のみる景色~
ずっと、それだけが引っかかっていた。
そうして自分なりに出した一つの可能性。
佐伯先輩はもしかしたら私を……。
なんて、あれだけひどくフラれているのだからそれはないかって、何度も首を振っては考え直した。
結局のところ、答えに近づけそうでその距離はまだ遠かった。
たくさんの矛盾と疑問が渦巻いて、それを知りたいと思ってしまっていることになんだか情けなさも感じる。
うぬぼれているみたいで、バカみたいだ。
もうすぐで、学校で佐伯先輩を含め、3年生の姿を見ることもなくなる。
たった数日行われる卒業式の予行練習、そのあとに迎える卒業式本番が終わってしまえば、もう本当にさよならだ。
数日前、気持ちを入れ替えるために佐伯先輩のデータを、ケータイから消した。
最後にと思ってかけた電話も予想通り繋がらなかったし、メールもエラーで戻ってきてしまった。
わかっていてそうしたことだけど、それでも悲しかった。
もう本当に、繋がりは切れたんだって。
かなりショックは受けたけど、それと同時に消去ボタンを押す踏ん切りがついたのも、また事実だった。
もう、泣くのはやめようと思った。
あれだけ泣いたんだから、そろそろ前に進まなきゃいけない。
矛盾だらけの自分の言葉と行動は、それでおしまいにしようと思った。