身代わり姫君の異世界恋綺譚
真白が片方の肘を付いて身体を起こすと、紫鬼の目が開いた。

「真白、私はもう清蘭をなんとも思ってはいない」

「し、紫鬼っ!どうして?」

ハッとした。

「紫鬼っ! 私の頭の中を見たのね? 見ないでっ!」

「見てはいない。声に出していたぞ?」

「……」

――本当に……? 私、口に出していた……?

「私は死んでいる者に興味はない」

次の瞬間、紫鬼の腕の中に引っ張り込まれていた。

紫鬼の膝の上に真白は座った状態になってしまう。

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