身代わり姫君の異世界恋綺譚
第三章

出発

しばらくして気分が落ち着いてきた真白は、紫鬼に話さなければと思っていたことを思い出した。

紫鬼の膝の上に座り優しく揺れていた真白は視線を赤い瞳に移した。

「紫鬼、言おうと思って待っていたの。清雅がえーっと……どこだっけ?何とか山に行こうって」

「山?」

紫鬼が首を微かに傾ける。

「うん。山といっても川があって遊べるって。阿倍家の別宅がある所に連れて行ってくれるって言っていたの」

「あぁ、それなら白笠山だ」

「紫鬼も一緒に行ってくれる?」

紫鬼が行かないのなら残念だがここに残る事にする。

「むろん。一緒に行こう」

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