身代わり姫君の異世界恋綺譚
廊下を走る足音。

「真白っ!」

大きな声で真白を呼びながら障子をガラッと開けたのは清雅だ。

紫鬼が真白の布団の傍に座っており、清雅が姿を見せると口元に人差し指をやった。

静かにしろと言っている。

「むむっ」

清雅は布団の中の真白を見ると、先ほどの声にまったく気づかずにぐっすり眠っている。

「なぜまだ寝ておるのですか?」

声を低くして紫鬼に尋ねる。

「昨晩、怨霊に乗り移られた男が真白を襲った」

「ええっ!?」

「庭で男はまだ眠っているはずだ。何も覚えていないだろう」

紫鬼は男の命は助け、怨霊だけを退治した。

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