身代わり姫君の異世界恋綺譚
真白の世界で言えば、これは旅行。

心が浮き立つのは久しぶりだ。

桔梗が泊まる着物を用意してくれている。

真白は何もする事がなく朝餉が終わると庭をブラブラしていた。

「真白~行くぞ~」

門へ行くと清雅がいて大きな声を出した。

その声は楽しそうだ。

「えっ? 紫鬼は?」

キョロキョロと辺りを見回しても紫鬼の姿が見えない。

「すぐに来るのだ」

清雅は手招きをして牛車に真白を案内した。

先頭の牛車は荷物が入れられている。

次の牛車の方が少し大きめで真白たちが乗るらしい。

そして女房や料理人、隋人(護衛)は後ろから歩いてくる。

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