身代わり姫君の異世界恋綺譚
「真白っ!!! 誰か! 誰かいないか!」

屋敷に向かって清雅が叫ぶ。

「紫鬼っ! 紅っ!」

清雅は真白の方へ水を乱暴にかきながら無我夢中で進みながら叫んだ。

引きずり込まれた真白は足を引っ張る見えない手を足首から引き離そうと水中でもがく。

鼻と口から一気に水が入り込み呼吸が出来なくなった。

――紫鬼っ!

意識が朦朧として目が閉じる。

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