身代わり姫君の異世界恋綺譚
清雅は紫鬼を探しに真白の部屋へ行った。

渡り廊下を抜け、部屋の近くに来ると真白の楽しそうな笑い声が聞こえた。

「真白、楽しそうじゃな」

元気になってよかったと思う。

「ん?」

清雅は真白の笑い声に混じって聞こえてくる笑い声に耳を疑った。

「笑っているのは……紫鬼か?」

男性が真白の部屋に入れるのは紫鬼しかいないので間違えないだろうと思うのだが、あの紫鬼が笑っている?と唖然となり進む足が止まった。

――長い付き合いじゃが紫鬼の笑い声など聞いたことがない。

どんな顔をしてみているのか見てみたいと清雅は小走りになった。

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