身代わり姫君の異世界恋綺譚
おそるおそる口付ける真白の唇とは違い、大胆に紫鬼の唇に舌を這わせ開かそうとする。

だが、清蘭の力をもっても紫鬼の無表情と唇が引き締められるのを緩ませる事が出来ない。

『わらわに口づけをすれば真白の身体が楽になるのじゃぞ?』

紫鬼は乱暴に清蘭の腕を振り払うと、部屋から出て行った。

外はますますの嵐。

荒れ狂う紫鬼の心。

この嵐がおさまる事があるのだろうか……。

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