その男、小悪魔につき。【停滞中】
今の聞かれた……?
千尋くんが近付くにつれ、私の鼓動は早くなった。
何か言おうとも思ったが、こないだ聞いた給湯室での会話が脳裏に蘇る。
……何で私が取り繕うとする必要があるのよ。
私が他人の振りを頼んで以来、全く連絡を取ってなかったし、もしかしたら私たちは……
そう思うと何だか馬鹿らしく思えてきて、私は素知らぬ顔をして足を進めた。
しかしあと少しですれ違う瞬間、腕をパシッと掴まれてしまった。
何よ、と言おうとして千尋くんを見上げると無表情、いや少し不機嫌そうな顔で私を見下ろしていた。
「……行くんですか?」