その男、小悪魔につき。【停滞中】



でも彩月さんはきっと俺のこんな態度に気付いている。


掴めそうで掴めないような俺に。



実際、俺自身初めて会ったあの夜にどうしてこの誘いに乗ったのかわからない。



でも目の前で酔って顔を赤くしながら、好きだった男の話を初対面の俺なんかにしてしまう彼女が愛らしかった。


目に涙を溜めて、好きだったと話す彼女にどうにか立ち直らせたいと思ってしまった。



本当は期限なんかどうでもいい。



でも俺の中で一生消えないこの感情は彼女には背負わせたくない。




なぁ、栞……



俺のしていることはお前に対しての偽善なのか?


教えてくれ、栞……



千尋side終わり




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