「お隣さんで幼馴染は恋の対象になりえますか?」
私…よくわかんない
Q:お隣さんで幼馴染の男の子は…恋の対象になりえますか?

「私はあると思うっ!絶対アリ!」
「ん~…どっちかって言えばまぁアリ、かな?ほのかは?」
「あんま考えた事ないから…よくわかんないけど…」
「お隣さんの幼馴染と言えば岸田先輩じゃん?ITOの」
「そうそう!超羨ましいって~」

I…イケメン
T…タラシ
O…女好き

私、橘ほのかの一つ年上の幼馴染は学校でも有名な岸田統一郎…一度は遊ばれてみたいと女子に言わせるくらいのイイ男。けど今はもう話す事もない…と言うより避けられてる。中三の夏以来は――。


中学の頃は【付き合う】って何だかカッコイイ感じだった。誰かと付き合ってないとダサいってレッテル貼られちゃうから、適当に男女のグループ同士で勝手に相手を決めて、まるでおままごとみたいな【付き合い】をしてる子が多かった。
勿論私もその一人。同じクラスの男子と付き合ったりしてた。

「なぁ、ほのか」
「なぁに?」
「…クラスの奴と別れて俺にしろよ」
「ん……ん、わかった。統一郎と付き合う」

統一郎は私に本当に【付き合う】ってどういう事かを教えてくれた。デートもキスも…エッチも……。統一郎とはどんな男子とより長く付き合えてた。
なのに私が中三の夏休み…雰囲気からロストバージンして、怖くて痛くて止めてって言ったのに統一郎は止めてくれなくて…私はただ泣いた。

「…やっぱ…お前じゃ子供過ぎる…俺には無理だ…バージンも重いしな」

そう言われて……私とは口も利いてくれないし、目も合わせてくれなくなった――。


それから統一郎と同じ高校に進学してみたり、何度か声を掛けてみたけどシカトされ続けて…高二になった。
進学してみてわかったのは、統一郎の周りには女子が多いし、いつも誰かとキス…してる。日替わりみたいに学年問わずいろんな子を連れてる。

当時はいつも構ってくれる統一郎が好きで…それが恋愛の好きとイコールだったかはもうよくわかんないけど、でも優しくてカッコよくて、雑貨屋さんにもちゃんと付き合ってくれる統一郎が大好きだった。
雑貨屋さんで買ってくれたハートのネックレスもピンキーリングも…まだ持ってる。捨てられなくて…捨てたくなくて。

「ほのかもそろそろ彼氏作りなよ」
「いいよ…子供っぽい私に付き合ってくれる人なんか…いないもん…」
「橘ほのか改造計画を始動しますっ」
「了解しましたぁ」
「ちょ…やだ、何!?美春も知美も…」
「脱子供っぽさ!」

中学からの友達の美春と知美が互いにポーチを取り出して、常にすっぴんの私に化粧をし始めた。
ファンデにチークにアイカラー、マスカラ、口紅とグロス…化粧慣れした二人はメイクさんみたいに、流れ作業で私に化粧をしてくれた。

「完了♪」
「ん~我ながらいい仕事したねぇ」

鏡を私に向けながら満足そうに二人は笑ってる。恐る恐る鏡を覗き込んだ私は……。

「……うわぁ…私じゃないみたい…」
「ブルー系のシャドーで大人っぽく」
「でもベビーピンクの口紅で可愛く!似合ってるよ、ほのか」

何だか嬉しくなって、放課後には二人に付いて来てもらって化粧品を買いに行った。やり方を教えてもらって、明日からは化粧する事にした――。

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