原田の肩に担がれながら叶はぼんやりと考える。

ーこれが夢じゃなければ私は江戸時代に居るって事よね?ー

ータイムスリップ?ー

ーここは新選組で、私を担いでるのは原田左之助、で、殺そうとしたのが沖田総司ー

ー手当してもらった後って私はどうなるんだろうー

ーそもそも手当してもらえるの……かな?ー

ーもう、考えるのも疲れちゃった……ー

肩の上で力なく目を閉じた。



「よし、此処に座っててくれ。ちぃとばかし待っててくれよな。」



肩から下ろされ、ハッと我に返る。



「総司、何もすんじゃねえぞ。」



沖田に釘を指し、原田の姿は消えていった。

叶は下ろされたままの状態で視界に入る室内をぼんやりと見ていた。

ー純和風って感じの部屋だな……ー



「ニャー」

「っと、こら。大人しくして!」



仔猫が沖田の腕から抜け出し、叶に擦り寄る。



「ネコちゃん……」



擦り寄った仔猫を優しく撫でた。
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