「ねえ、その猫、名は?」



突然の声にビクッと肩を上げる叶。



「あ……え、と……」



ーそう言えばこの子捨て猫だったー



「ない、です。」

「………………は?」

「いや、だから、名前はないです。」

「どうして?」

「少し前に拾ったんです。」



ー拾ったつーかこの子も巻き込まれちゃったんだよねー

叶は仔猫を抱き上げそっと撫でる。



「ごめんね、巻き込んじゃって。」



抱いた力を少し強める。

そんな姿を沖田はじっと見つめていた。
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