生徒会の恋愛事情


行きも帰りも、弥先輩はずっとあたしの手を離さないでいてくれた。


おかげであたしは最後まで歩けたの。


克服できたわけではないけど、一応は肝試しを達成出来たから、その事は良かったって思う。


だけど…


「帰ってこれたね。」


森の向こうから光が見え始めた。


元の場所まで来れたんだ。


「そうですね。
あの…ありがとうございました!」


あたしは弥先輩の手を離そうとした。


でも、弥先輩が離してくれない。


「弥先輩?」


「ああ、ごめん。
もう大丈夫かな?」


「はい。
ここまで来たら。」


「そっか…なら良かった。」


弥先輩は一瞬、あたしの手を強く握る。


その手に、弥先輩のありったけの熱が込められているような気がした。


それに…弥先輩の言葉が寂しそうに聞こえた。


気のせいなのは分かってる。


でもあたしは、更にドキドキしてしまい、その右手を握りかえしたくなった。



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