生徒会の恋愛事情


「っ…」


あたしは言葉を紡げなかった。


初めて見た、弥先輩のこんな顔。


半年間ぐらい一緒にいて、初めてだ。


学校運営と生徒会の仕事以外で悩んでる弥先輩


それは…普通の高校生だった。


いや、普通の高校生にしたらすっごく品格あるし、オーラとか全然違うんだけど。


でもね…弥先輩も高校生の男の子なんだなって思った。


だから…


「弥先輩…どうしても行きたくないとかじゃないないなら、行ってきて下さい。」


「沙羅ちゃん…」


「確かに、弥先輩じゃないと出来ないことって沢山あります。
でも…大丈夫ですよ。
大事になりそうな案件、ちょうどないじゃないですか。
あたし…これってチャンスなんじゃないかって思うんです。
今なら行っても大丈夫っていうか…上手く説明出来ないんですけど。」


「チャンス…か。」


「はい。
それに、弥先輩こそ修学旅行に行った方がいいですよ。
それに…ずっと働きっぱなしじゃないですか。
たまには休んで下さい。
行ったらダメって規則はないんですから。」


そう、弥先輩にこそ行ってほしい。


勿論、勇也先輩にも香里奈先輩にも華羅お姉ちゃんにも。


楽しんでほしいの。


「高校生って一回しかないじゃないですか。」


そう、高校生なんだから。


生徒会、やりがいがあって楽しいけど…でも他の事も楽しんだ方がいい。



< 266 / 385 >

この作品をシェア

pagetop