生徒会の恋愛事情


「中学までは私立に通ってたんだけど…ごめん、その話はまだ出来ない。」


「え?」


「沙羅ちゃんを信用していないわけではないんだ。
でもちょっと事情が複雑で、僕だけの問題じゃないんだ。」


それは、他の先輩達も巻き込む事になるからだろうか。


それとも…もっと大きな問題なのだろうか?


これだけ大きな家に住める、お金持ちの弥先輩。


でも彼は、普通なあたしと同じ学校に通っている。


あたしからしたら、こんな人と関われる事は奇跡だ。


その奇跡の裏側には、あたしが想像も出来ないような大きな事が隠れているのかもしれない。


そう、本当ならあたしが知るはずもないような事がだ。


でも、弥先輩は“まだ出来ない”って言った。


言葉だけ聞くと、時間が経てば教えてくれるって事だ。


「分かりました。
詮索してすいません。」


「沙羅ちゃんが謝る事なんてないんだよ。
僕の方こそごめんね。」


そう言って、弥先輩はあたしの頭を優しく撫でてくれた。


温かくて大きな手だった。



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