ただ、名前を呼んで
「いやぁー!!ああぁー!!」
僕はぐっと堪える。
強く握りすぎた両手がジンジンと痛む。
「拓郎が……青いの…服が真っ赤なの。痛いね?苦しいね?ごめんね?拓郎。」
震えるような声で呟く母。
“青い父”
“真っ赤な服”
母は今、父の死に直面している。
「あぁあああー!!行かないで!!待って!!」
さらに強く叫び、通り掛かった人達は、避けながらも冷たい視線投げ付ける。
その時、へたりこんでいた母が突然立ち上がった。
そして内藤さんの手を払い、走り出したんだ。