ただ、名前を呼んで

両手で頭を抑え呻く母。
いつか僕の怪我を見て怯えた時の様子に似ている。

発作的なものだろうか。
そうなると……母はまた思い出してしまったのだろうか?


「いやぁあああー!!!」


耳をつんざくような悲鳴。
金切り声ともとれるような、鋭く尖る声で母は叫んだ。

慌てて内藤さんが手を差し延べるけど、母はそれを払いのける。

僕はすぐにでも駆け寄りたくて仕方なかった。

だけど出来ないんだ。
今会えばきっとさらに動揺させてしまう。
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