ただ、名前を呼んで

沢山の母の顔。
空を見つめる横顔。

白くて華奢な腕に、小さく頼りない撫で肩。

初めて聞いた母の声や、穏やかな微笑み。


母に会って3年。
僕の中は母が全てだった。
僕の心は、こんなにも母を覚えている。


写真を一枚一枚手に取って眺めていく。

僕の知らない若い頃の母ばかりだったけれど、どれも懐かしく思える。

写真に写る母の笑顔がぼんやりと滲み、上手く見れない。
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