ただ、名前を呼んで
「悲しいのは分かる。しかしこのままでは……お前がダメになる。」
祖父の声には切なさが混じり、僕の心に優しく刺さる。
「でも…でも……っ!」
祖父の言葉は分かる。
心配してくれていることも、励ましてくれていることも。
だけど上手く整理できない。
未来があるなら強く居られる気がしていたのに、今の僕には未来が見えない。
「拓海……。」
『拓海』
父の名から一文字貰ってつけられた僕の名前。