最初で最後.
私と透太が出会った日。4月21日。
山吹高校の入学式。
緊張で顔が強ばっていたであろう私の隣に座った男の子も、私と同じく緊張の表情を隠せないで居た。
それが君だよ、透太。
教室に入って一番最初に話したのが透太だった。
初めはさ、お互い緊張して話せてなかったけど、だんだん慣れてきてお互い自然に笑えるようになっていったよね。
「ちはや」と「しだ」なのになんで名前順が隣なんだろうなんて、くだらない話で盛り上がったね。
こんな細かいことまで覚えてる私って気持ち悪いのかな?
でも、仕方ないよね。私がこの日のことを覚えてるのは。だって、私が透太に恋した記念すべき日だから。
体育祭やなにやも透太と同じクラスってだけでワクワクした。それほど私は透太にベタぼれだったんだよ。

夏休みが終わって一週間ぐらいたった頃だったかな?
何があった日か覚えてる?
私は覚えてる。絶対忘れない。
日が落ちるのが早くなってきた夏休み明け。
夕日でオレンジ色に染まった教室で、
透太に初めて「好き」を貰った日だから。
初めは何がなんだかわからなくて、
でも、ただただ嬉しくて、嬉しくて…
ただ頷くことしか出来なかった私を、
いつもの何倍も優しい笑顔で抱きしめてくれたよね。
その時思ったよ。絶対離さないって。
この幸せがいつまでも続けばいいって。
でもさ、いつまでもなんてそんなに簡単なことじゃなかったね。
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