12 love storys
とある薬品会社で、
害虫駆除用の
商品開発をする俊樹。

やはり、
虫には詳しい。

「ねぇ、
雪虫見たことある?」

「んーーーあるよ。
雪虫が飛ぶと、
もうすぐ初雪が降るって、
言われてるんだ。」

「そうなの?」

「ああ、そうだよ。」

雪国育ちの俊樹は、
初雪の日に
生まれたらしい。

「じゃあさ、
俊樹が生まれる時にも
雪虫飛んでたの?」

「どうだろ?
飛んでたんじゃないの?
僕はお腹にいたから、
見ていないけどね。
今度、うちのお袋にでも、
聞いてみたら?」

「えっ、
お袋って……お母さんに?」

「そうだけど。
今度の連休、休めるから、
親父とお袋に君を紹介するよ。
僕の大切な女性(ひと)だって。
そのーーー
一生を共にしたい人だって……。」







「えっ……。」

俊樹は私も
ソファーに座らせると
手を取り、
真面目な顔して

「僕の嫁さんに、
なってください。」

と、
いつもはほとんどクールに
構えている俊樹が、
顔を真っ赤にしながら
言った。





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