12 love storys
取り敢えず、
自分の席へと向かう、
やはりスマホはそこにあった。


「はふれほの?」(わすれもの?)


「ええ、表に出て気づいて……。」


「よはっはへふへ。」(よかったですね。)


「そうですねぇ……駅まで行ってたら
ちょっと、面倒ですよね……って
課長、何言ってるのか
よくわからないんですけど……。」


「フッフッ……それもそうですね。」


漸く、口から一旦、
棒つきキャンディを出すと
石倉課長は言った。


「口止め料ですよ。
棚橋さん。」


課長が食べているのと同じ
丸い玉が先についた
棒つきキャンディを
ポケットから出して私にくれた。


「わ、たしに?」


「ええ、ですから
この事は内密に……よろしくどうぞ。」


全くもって、
いつもと同じく絶対的な威圧感を
出しながら言うものの、
その目は珍しく優しげな三日月をしていた。


「あ、ありがとうございます。」


「どういたしまして。」


そう言うと、また棒つきキャンディを
口に加え、パソコンの画面を覗く顔は
やはり、目が笑っていなかった。






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