大嫌いな君へ
ピピピピッ…


「36、5℃…熱はないね。
気分はどう?顔色も良いみたいだけど」


「もう、大丈夫です。
今回の一番の原因は、睡眠不足なんで…」


「あら?そうなの?」



毎朝の検温。

子供の頃から知ってる看護師さんのおかげで、気を使わずに話せる。



「最近、忙しかったから。
だから、もう大丈夫なのに…安藤先生が検査入院って…」


「心配なのよ。可愛い奈々ちゃんが。それに、橋本先生も心配してたから…」


「過保護過ぎるんだよ…お父さんは。
ただの寝不足と貧血だけなのに」



橋本先生と言うのは、あたしのお父さん。


ここ明和病院の外科医として、働いている。



「そんな事言わないの。いくつになっても、子供は子供なんだから…夜中に何度か様子見に来てたの知らないでしょ?」


「えっ…お父さんが?」


「そう。私たち看護師にも『娘を宜しく』って頼まれちゃった。」



そうなんだ…

知らなかった。



「でも、会いには来ないんだよね…」



ポツリと愚痴を言うと、


「ふふっ。当直みたいだったから、もうすぐ来るんじゃないかな?」



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