最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
*** 恭子Side ***


キッチンで朝食を作っていたら、後ろから陽平君が抱き着いてきた。


「恭子さん。今朝のご飯は何ですか?」

「今日は和食よ? ご飯にお味噌汁に塩鮭とお新香と……って、ちょっと、包丁持ってるんだから危ないって……」


陽平君は私のお腹に腕を回し、体をグイグイ押し付けてくる。


「ごめんなさーい」

「大人しく座って待ってて。ね?」

「はーい」


陽平君がこんなに甘えん坊さんとは知らなかったわ。でも、可愛いのよねえ。大好き。



「いただきまーす。あ、そうだ。昨日、田舎のお袋と話したんですけど、今度の土・日に一緒に行ってくれませんか?」

「陽平君の実家に?」

「はい。実は前から早く会わせろって言われてたんです」

「そう? 土曜日かあ……」

「何か用事ありましたか?」

「え? ん……いいわよ。行くわ」

「いいんですか? 本当は何か予定があるんでしょ?」

「いいの。大した用事じゃないから」

「恭子さん、水臭いですよ? どんな用事か言ってください」


ああ、困ったなあ。陽平君に隠すつもりはなかったけど……。ううん、出来れば隠したかったかな。同窓会の事は……

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