最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
*** 陽平Side ***


「ほら、食べないと。会社に遅れちゃうわよ?」

「あ、はい……」

「あら、今夜は雨なのね。傘を持って行きましょうね?」

「はあ」


なんだか恭子さんの態度、不自然だなあ。もしかして土曜の事、俺に隠そうとしてないか?


「恭子さん、答えてくれないんすか?」

「え? 何だっけ?」

「だから……、土曜日に予定してた用事ですよ」

「大した用事じゃないって言ったでしょ? もう忘れてちょうだい」


うーん、やっぱり怪しい。恭子さんは絶対何かを隠してる。どんな些細な事でも、俺たちの間で隠し事は許せないもんね。


「こら、恭子!」

「な、何よ、急に……」

「言いなさい。言わないと……」

「言わないと、何よ?」

「ん……一緒に風呂、入ってやんないよ?」


おっと、それは効果ないよなあ。いつも恭子さんは恥ずかしがってるもんなあ。今のは失敗、と思ったのだが、


「わかったわよ。言えばいいんでしょ?」


あらま、効果あったらしい。そうかあ、意外に恭子さんはイヤじゃなかったんだなあ。俺と一緒の風呂。


「同窓会なのよ」

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