最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
職場に戻って一仕事終え、ふと思って俺はまた内線表を眺めてみた。
あ、いた。いたよ、こいつ……
俺は恭子さんが夜中に寝言で言った“ナカジマ”という苗字が気になり、内線表で探してみた。すると何の事はなく、恭子さんの名前の下の方を辿ったらなんなく見つけてしまった。“中嶋”という男を。
そうか、恭子さんは同僚の中嶋って男に恋してるわけかあ。ちくしょう、どんな野郎なんだ? こいつは……
俺は携帯を取り出すと、田上にメールを打った。『一緒に飯食いに行こう? 奢るから』と。それはもちろん、田上から中嶋って男の事を聞きだすためだ。
昼になり、俺と田上は玄関で落ち合って会社近くのラーメン屋に来ている。
「なんだよ……。奢るって言うから何をご馳走してくれるのかと思ったら、ラーメンかよ?」
「贅沢言うな。安サラリーマンにとってラーメンは定番だ。その代わり、一番高いのを頼んでいいぞ?」
「そうか? 一番高いのはどれかなあ」
田上はメニューをペラペラとめくりだした。俺は冗談で言ったのに、こいつ本気で探してやがる。と思ったが、結局は二人とも安い餃子セットを頼んだ。助かった。
「で、俺に何か頼み事か?」
「おお、察しがいいな? 実は教えてほしい事がある」
「ほお、何?」
「おまえ、中嶋って男を知ってるか? たぶん、きょ……いや五十嵐さんと同じ部署だと思うんだが」
と言ってから、田上はその男を知らないかもなと思った。なんせ恭子さんの事も、すぐには思い出せなかったから。部署が違うからと。ところが……
「ああ、知ってるよ」
あっさりと田上はそう言った。