最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「そうか? どんな男だ?」
「ん……一言で言えば、サーファーだな」
「サーファー?」
「ああ。確か実際にそうだったと思うが、髪の毛は長くて黄色に脱色してて、一年中小麦色に日焼けしてるよ」
「ああ、なるほど……」
頭の中で思い浮かべてみて、大体のイメージはできた。が、およそサラリーマンのイメージとはかけ離れてるし、ましてやお堅いシステム部所属っていうのは、どうもなあ……
「まあ、目立つ事この上ないね。だから部署が違う俺でも知ってるし、おまえだって顔を見ればおそらく見覚えがあると思うぞ」
「ふーん」
恭子さんとサーファーかあ。まるで水と油って気がするけどなあ。ま、人の好みは色々だからな。
ラーメンと餃子が来て、それらを食いながらふと思った。恭子さんにとって、俺は中嶋って男の代わりだという仮説を立ててるわけだが、だとするとその男と俺には共通点があるはずなのだが……
「なあ田上、そいつと俺って似てるのか?」
「“そいつ”とか言うな。あの人は俺らより2つぐらい先輩なんだから」
「そうなのか? 悪った」
「似てるかって? 全然似てねえな」
「そうか。でも顔は似てないにしても、なんかこう共通点みたいなものがあるんじゃないか?」
「おまえと中嶋さんでか?」
「ああ」
「そうだなあ。ん……特にはないと思うが……ああ、あった」
「あったか? それは何だ? 教えてくれ」
「あんまり言いたくねえな」
「おーい……」
田上は本当に嫌そうな顔をし、ラーメンをズズッとすすった。俺は箸を止め、田上が言うのをじっと待っていた。