最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

「ところで川田よ、どうして中嶋さんの事を聞いたんだ?」

「あ? 別に……」

「もしかして、五十嵐女史の絡みか?」

「ち、違うよ」

「そうか? じゃあなんでだ? 他には考えられねえけどなあ」


俺はだんまりを決め込んだ。今は恭子さんの話題に触れてほしくなくて……


「チッ。だんまりか。そう言えばおまえ、五十嵐女子と会ったんだよな? どうだった。何か進展したのか?」

「何も……」

「そうだよな? あんなブサイクな女とおまえじゃ……って、おい。何すんだよ?」


俺は咄嗟に田上の胸ぐらを掴んでいた。


「今の言葉を取り消せ!」

「ど、どの言葉だよ?」

「“ブサイク”って言ったろうが! 今すぐ取り消せ!」

「わかった。わかったから放してくれ」

「ああ」


俺は田上から手を放しながら、自分でも驚いていた。なんでこんなにも腹が立っているのかと……


「悪かったよ。ろくに彼女の事見てないくせに、イメージだけで言っちまった。許してくれ」

「ん、わかった。俺も悪かった。ついカッとなっちまって」

「ふー。それにしてもおまえ、もしかして五十嵐女史の事……」


田上はワイシャツの前を直しながら言い、その言葉は、俺の胸にグサッと突き刺さったような気がした。

< 65 / 191 >

この作品をシェア

pagetop