最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

「あ、すみません。恭子さんから、どうぞ」

「私こそごめんなさい。川田君から、どうぞ?」

「いえいえ、どうぞどうぞ」

「ううん、どうぞどうぞ」


プッ

お笑いグループみたいなやり取りになり、可笑しくて二人で顔を見合わせ笑ってしまった。


「じゃあ、レディファーストって事で、恭子さんから、どうぞ?」

「うん。あのね、あの日、黙って帰っちゃってごめんなさい」

「ああ、その事ですか? あれはショックでした。きっと恭子さん、怒って帰っちゃったんだろうなって……」


俺はあの夜のミスを思い出し、申し訳ない気持ちでシュンとうな垂れたのだが……


「私、怒って帰ったんじゃないけど?」


って言われた。


「え? そうなんですか?」

「うん。どうして私が怒るの?」


逆に聞かれてしまった。それについては、この後俺が謝るわけだから今は置いといて……


「だったら、どうして帰っちゃったんですか?」


という、新たに発生した疑問を俺は口にした。

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