最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
それから1ヶ月ほど過ぎたある日のこと。
恭子さんは具合が悪くて会社を休んでおり、俺は久々に田上と昼飯を食っている。と言っても、社員食堂でだが。
「はあー」
つい溜め息をついてしまった。
「なんだ? 幸せの溜め息か?」
「そんなんじゃねえよ」
「だったら悩み事か?」
「まあな」
「おいおい、俺は冗談で言ったのに、本当にそうなのかよ……」
「…………」
「だんまりか? 飯は残してるし、おまえ、しばらく見ない内に痩せたんじゃないか?」
「そうなのよ。わかる? あたしダイエットしてるの」
「…………チッ。おもしろくねえよ」
田上が言うように、俺は少し痩せたかもしれない。悩みが多くて、このところあまり食欲が出ない。
「熱が醒めちまったか?」
「あ? 何の事だ?」
「五十嵐女史の事だよ」
「まさか。むしろその反対さ」
そう。俺は恭子さんにどっぷりはまっている。愛していると言っていい。だが、それだけにいくつかの事で悩み、苦しんでいるんだ。
「喫茶に行こう? 聞いてやるから」
「いや、結構だ」
「そう言わずに……。俺とおまえの仲だろ?」
「わかったよ」
と言ったものの、田上と言えども人にはあまり言いたくない事ばかりんなんだよなあ。