焦がれて



それから田嶋くんが私を視界に入れることはなかった




モヤモヤが消えないまま迎えた放課後



マイがいない


ショウヘイ君が待っててくれる



分かっているのに私は図書室から出られないでいた



この大きな図書室で周りにあるのは本の壁



司書さんはパソコンを触っているだろうけど、私の位置からは見えないし聞こえない




心地いい静寂の時間



床に膝を立てゆっくりと腰を下ろす



床の冷たさが直接太ももに伝わる


じわじわと床と共有されていく体温



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