焦がれて
その香りにこの間のことを思い出す
ほんの、一ヶ月前の教室を
「こないだの」
「え、」
顔を上げる岡崎笑
呼び止めた自分に、
こちらを見たことを嬉しく思う自分に、苦笑いすることしか出来ない
なんていざき悪いんだって自分でも思う
けど、それでも
「…こないだのどういう意味」
欲しいんだ
「…どうして」
困惑しているような彼女
「…ずっと気になってたから」
困らせてるという事実に苦笑いを隠せない
そして、岡崎笑が浮かべたのも
「遅いよ」
俺と同じ笑だった