焦がれて



「待ってんだろ」


"ショーヘイが"




もしかしたら、期待してんのかな
   


何処かで、好きなのは俺だけだって、


あの時と同じように言ってもらえる気がしてたんだ




だから、


「行くよ」


望んだのとは違った答えに、耳を塞ぎたくなった


「行かなきゃ」


立ち上がる岡崎笑を見て俺も立ち上がる



「じゃあね」


心臓が痛い


伏いたまま通り過ぎようとする岡崎笑







横切った時に、ふわりと甘い匂いが漂った


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