とけていく…
五.
 彼はたいてい、月曜の朝は寝坊だった。ただ、誰も起こしてくれないプレッシャーから、大寝坊をすることはないのだが、月曜日の朝は、どうも苦手だった。そして、それは今朝も同じだった。

 日曜日を挟み、今日からまた新しい週が始まる。予定よりも三〇分ほど寝坊してしまった彼は、寝ぐせをつけたまま家を出なければならなかった。それでも、借りたCDだけはちゃんとカバンに入れて、家を出ていた。

 本当は、先週のうちに返しに行こうかと思っていたのだが、何と無く足が向かず、一週間経ってしまったのだ。

 借りたと言っても、あの時一曲目のキラキラ星を、イントロだけ聞いただけで、後はほとんど聞いていなかった。いや、聞く気が起きなかった、と言った方が正確だろうか。彼は、あの時の悪夢を思い出してしまうのを、酷く嫌がっていたのだ。

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